「ホームページを新しく作りたい。でも、相場がわからないし、見積もりの見方も不安…」
これは、集客に悩む中小企業の経営者やウェブ担当者からよく聞く声です。
今回は、実際の制作現場でどうやって費用が決まっていくのかを、なるべくわかりやすく解説します。
また、見積もりで後悔しないために、発注前に知っておきたい考え方についても触れていきます。
かつては10万〜20万だった時代、今はなぜ高い?
私が起業した20年以上前、ホームページ制作はもっとシンプルでした。
当時は1人の“パソコンオタク”が、10万〜20万円台で一通り作っていた時代です。
でも今は違います。
ひとつのサイトを仕上げるために、複数の専門家が関わります。
予算や進行管理をする人、マーケティング戦略やコンセプト、コンバージョン設計やアクセス解析など設定する人、デザインを考える人、コーディングを行う人、写真や動画を撮影する人、SEO対策やSNS運用をする人…。
このように、ホームページ制作は「プロジェクト型」に進化し、費用も当然ながら高くなりました。
地域差もありますが、テンプレート使わずオリジナルデザインで小規模事業者から中小企業向けのホームページだと、沖縄では150万〜300万円程度、東京などの都市部では500万超えは珍しくありません。
見積もりの数字だけを見ると驚くかもしれませんが、裏にはそれだけの作業工数と人件費がかかっているのです。
実例で見るホームページ制作費の考え方。
では、実際にどう見積もられているのか?気になりますよね。
ざっくりとした、例で紹介します。
たとえば、10ページ以下のシンプルやホームページ制作で、20人日の作業量が必要だと仮定します。
1人のスタッフが1日5時間(8時間フル稼働は現実的に無いので5時間)稼働で20日間働く、または2人が10日間作業する計算です。
私の現場では、時間単価を3,750円として見積もることが多く、以下のような計算になります。
3,750円 × 5時間 × 20日 = 375,000円
これが20人日の工数でホームページが制作できる場合、それを想定したケースでの「制作に関わる人の手間=工数」の基本料金です。
実際には、中小企業のホームページ制作だと、20人日の作業量でホームページはまれで、3ヶ月から5ヶ月程度はかかります。
その数ヶ月の制作期間には、様々な人件費や外注費が加わってきます。
進行管理を行うディレクター、プログラムが必要な部分はエンジニア、オリジナルのイラストや写真が必要ならイラストレーターやカメラマン。公式SNSアカウントの開設や運用、動画撮影や編集作業、LPの設計からコピーライティングなど、クライアントからの要望が増えれば、そのぶん追加コストが発生します。
これらをすべて組み合わせて、実際の見積もりは150〜300万円、場合によってはそれ以上になるのです
見積もりで損しないために知っておきたい3つのポイント
「一式」ではなく「工数」で確認する
ホームページ制作の見積もりには、「一式○万円」と書かれていることがあります。
でも、この表記では、どの作業にどれだけの時間や人件費がかかっているか分かりません。
たとえば「10ページ作成、一式100万円」と書かれていても、デザインに50万円かかっているのか、コーディングやシステム構築に40万円かかっているのか不透明です。
これでは、発注後に「ここは別料金です」と言われる可能性もあります。
理想は、作業項目ごとに「工数」と「単価」が記載されている見積もりです。
もし書かれていない場合は、必ず確認してみましょう。
オリジナルにこだわるほど費用は上がる
「うちは他社と違う雰囲気を出したい」「動くアニメーションを入れたい」「オリジナルの写真やイラストを使いたい」
こうした“こだわり”は素晴らしいことです。
ですが、それが積み重なるほど制作側の作業が増え、費用はどんどん膨らんでいきます。
過去には、アニメーションに強くこだわった結果、1ページの実装に3倍の時間がかかり、想定より大幅に費用が上がってしまったという事例もありました。
もちろん、こだわりが悪いわけではありません。ただし、「何のためにそれが必要なのか」「本当に効果があるのか」を考えたうえで、必要なものと不要なものを仕分けることが大切です。
引き算・線引きが重要
予算が限られている場合、すべてを盛り込むのではなく、目的に応じた「引き算」が必要です。
たとえば、名刺代わりのサイトであれば高額な写真撮影は不要かもしれません。逆に、サービス内容をしっかり伝えたい場合は、文章や導線設計に予算をかけるべきです。
「できること」よりも「やるべきこと」に優先順位をつけて、線引きする。
これが、ホームページ制作で無駄な出費を避けながら成果を出すコツです。相談すると、コスト削減につながります。
費用の内訳を知れば、納得できる見積もりになる
ホームページ制作の費用は「高い」と感じがちですが、その裏には専門性と時間、そして人の手間が詰まっています。
「とりあえず安く」ではなく、「どこに時間がかかっていて、なぜその金額になるのか」を理解することで、納得したうえで発注できるようになります。
見積もりを依頼する際には、作業内容ごとの工数、外注費、目的とのバランスを意識して相談してみてください。
費用に見合った価値があると感じられるホームページ制作を、あなたのビジネスに取り入れていきましょう。